ヨーロッパで民泊規制の動き。その理由は?
日本では違法民泊、闇民泊を中心としたきちんと管理が行き届かずに近隣トラブルを引き起こしている民泊への苦情が激増していることを受けて、0日規制の容認など、自治体による条例の改正が相次いでいますが、EU(欧州連合)でも、2026年9月に欧州委員会のテレサ・リベラ副委員長が、新たな民泊規制につながるかもしれない法案の議論に入ると表明しました。
その名も「手頃な価格の住宅法(Affordable Housing Act)」。STR(民泊を含む短期間ステイ用の施設)の増加が住宅価格の高騰につながる懸念から今回の措置になったと思われます。
まずはEUの住宅事情についてです。EUの中ではドイツやスイスなど、持ち家比率が日本よりも低い国もありますが、特にイタリアなど南欧では、家は先祖代々親から相続していくもの、という保守的な考えが根強い人も多く、一軒の家を大事に使っていく持ち家思考が強いですね。
そんな保守的な南欧の中でも特に保守的なギリシャでは、持ち家率がここ10年で10ポイント以上激減し、それには様々な固有の事情があります。かつてギリシャは固定資産税の概念がゆるく、特に諸島部では「自分が住みたいところに何となく家を建てて、そこに子孫が何百年も住み着いている」というようなことがままありました。しかし、ギリシャ危機をきっかけに税金が高騰したのです。さらに、ギリシャと言えば、美しいビーチリゾートから世界的な文化遺産まで、目玉が目白押しの観光大国。世界の大富豪が自家製ヨットで集う超豪華リゾートからバックパッカーまで、世界から旅行者が訪れます。そんな中で欧州のニュースチャンネル、ユーロニュースは「家賃が高騰し、地元の住民たちが“追放”されている。人の住まない地域ができている」と報じました。
経済危機からの回復が遅れているギリシャでは、相次ぐSTRのオープンは、建築業界を活性化させ、結果的に市場の安定化に一役買っただけでなく、町の補修や美観の維持にも大きく貢献しました。しかしその一方で、家賃が高騰したためにそれまで住んでいた人が出ていかざるを得なくなる状況も発生しています。ヨーロッパでは住居は基本的人権であるという考え方が浸透しているので、こういった家賃の高騰により、住む場所を失う人が多く出ているのはおかしいという考えも出てくるのでしょう。
現在の日本の民泊規制とは理由が違いますが、考えてみれば、大阪でも西成区の一部など、特区民泊制度によって一気に民泊が増えた地域があります。そこで引っ越しを余儀なくされる方々もいましたが、その一方で歯抜け状態だった廃屋がきれいに整えられたり、地域経済が活性化したという面もあります。
今、民泊は一時の激増期が終わって、制度も、そして管理もより現実に即したサステナブルな施設へと生まれ変わる時期なのではないでしょうか。長く続けるために、柔軟に対応していくことは必要になるでしょう。